2023年7月30日

小規模事業者のサーバ・メール環境構築

宮島の弥山は登らないと瀬戸内海の景観は分からない
宮島弥山は登ると瀬戸内海が一望できる



 皆さん,こんにちは。

2023年の夏は暑い日が続きます。しばらく,サーバやメールの環境構築に取り組んでいたため,投稿がおざなりになりました。

今回は,個人事業者として,最小限の費用でサーバやメールの環境を構築してみましたので,その概要を投稿します。

昔,Webサーバやメールサーバを立ち上げるには,自前でコンピュータを購入するか,データセンターのホスティングを利用するのが一般的だったと思いますが,今はレンタルサーバを利用するのが主流ですね。

値段も安くなっています。レンタルサーバも月額数百円で借りられる時代です。

ドメインも,私がインターネットを始めた30年前は,co.jpドメインを取得するのにJIPNICに申請に行ったのを懐かしく思い出します。

久しぶりに,フリーエンジニアになりましたので,自分のWebサーバやメールアドレスを用意することにしました。

予算が少ないので,如何に安く有効なシステムを構築出来るか考えてみたいと思います。


  ドメインの取得

まず,インターネットでサーバやメールを使うと,どうしても考えなくてはいけないのがドメインになります。

このドメインは,自分のサーバやメールの存在場所を知らしめるために必要なもので,ドメインにIPアドレスを特定させる機能と,サイトの保有者を特定するための認証機能を持たせたものになります。

最近では,このドメイン認証を使って,暗号化通信(https)するのが主流になっていますが,認証を取得するにはお金がかかるというのが難点でした。

ドメインには,国ドメインや機能名ドメインなどがあります。昔は1年で数万円くらいしていたのですが,最近は年に数千円で取得できるようです。

ドメインの取得先は,サービスを提供しているISP(インターネットサービスプロバイダ)など沢山あるようで,インターネット上で探してみるとよいかと思います。

私は,JPドメインを1つ購入しました。年間2,000円程度の予定です。もっと安いドメインもあるのですが,フィッシングサイトと間違われるのも嫌なので,JPドメインを取得することにしました。

 因みに,ドメインの購入にあたっては,レンタルサーバを購入するISP事業者と同じにした方が,手続きや設定を簡略化でき料金も安く購入出来ます。


  メールサーバの取得

さらにビジネスをする上で,どうして必要になるのがメールアドレスです。

これには考え方がいろいろあると思いますが,メールサーバ専一のサービスであれば,いくらでもアドレスを増やすことが出来ますので,社員が多ければメールサーバ単独でサービス契約すればよいかと思います。

年間1,000円程度で,アドレスをいくらでも作れるサーバが手に入ります。

私は,個人なので従業員が多い訳でもなく,電子帳簿のファイルストレージやTV会議も使いたかったので,「GoogleWorkspace」でメールシステムを構築することにしました。

ちょっとお高いですが,月に数百円程度で購入できますし,メールアドレスもエイリアス設定により,仮想的に複数人対応できます。

現在は,個人メールアドレス以外に,supportなどのエイリアス名称をつけて,メール受信毎に分類して分かるようにしています。

それと,「GoogleWorkspace」の購入では,10%割引チケットがありますので,利用すればいいかと思います。


  Webサーバの取得

次はWebサーバですが,これは,用途によっていろいろ選択できます。

最近では,自分のパソコンを購入して作る人はいないと思いますが,クラウドを利用する場合は,レンタルサーバを利用するか,VPSサーバを利用するかに分かれると思います。

レンタルサーバの場合は,販売事業者によりますがWebサーバ利用に特化したサービスになっており,WordpressやSSLなどがワンプッシュで準備できるようです。

反面,自分なりに特殊なことが出来ないので不自由さがあります。

一方でVPSサーバは,1つの物理サーバを複数の仮想サーバに分割してサービス提供するもので,カスタマイズが面倒なところがありますが,いろいろとやりたい人にとってはいいでしょう。

私の場合は,Webサーバ以外にIoTサービス構築のため,ファイル伝送環境を構築する必要がありましたので,Node-redやPythonが使える環境として,VPSサービスを選択しました。

仮想CPU3core メモリ2G ストレージ(NVMe SSD)50G で月額800円位だったので使うことにしました。


  クラウドサーバを使う上での注意点

初めて,クラウドサーバを使うので,全てがリモート対応のため少々戸惑いました。

まず,アクセスのためのSSH利用環境を準備する必要があります。SSHというのは,暗号化対応が可能なコマンドラインインタフェース(CLI)を提供するプロトコルになります。

それをサポートするソフトウェアには「Teraterm」と「Rlogin」などがあります。

「Rlogin」はWindows専用なので,今回は「Teraterm」を使うことにしました。ISP事業者からSSHキーを取得し,VPSサーバにアクセスする仕組みです。

 VPS(仮想サーバ)は拡張性を担保するため,レンタルサーバのように画一的にサポートする仕組みにはなっていませんから,自分でWebサーバやドメインの設定を行わざるを得ず,その点が大変です。

OSはLinux「ubuntu20.04」,Webサーバソフトには「Apache」,ドメインには無料の「Let'sEncrypt」を採用しました。

LinuxOSは他にもCentOSやRedHatなど色々ありますが,IoTを実施するつもりなので,RaspberryPiなどと相性の良いDebian系のLinuxを採用しました。

Windowsを採用する方法もありますが,レンタル料金が高くなるのでやめました。最近では,Windows上でもLinuxを動かすことが出来ますので,機会があれば投稿したいと思います。

Webサーバソフトには,「Apache」の他に「nginx」というのがあり,トランザクション負荷の増加に強いため急速にシェアを拡大していますが,当面は手慣れた「Apache」で動かしてみることにしました。

それと,最も重要なことに,このWebサーバにはSSL認証を通す必要があります。

最近のWebサイトは,httpsによる暗号化が主流になっており,ブラウザのセキュリティ警告を回避するためには,SSL証明書を購入して正しいサイトであることを証明する必要があります。

SSL証明書は,公開鍵暗号方式になっているのでその証明書と鍵には,年間数百円~数万円の費用が必要になります。

最も簡単なドメイン認証SSLが年に900円位~で,企業認証SSLに至っては年数万円が必要になります。

最近,有料の認証SSLに対し無料の「Let'sEncrypt」というSSLが現れました。

しかし,これは有効期間が3ケ月であるため,頻繁に更新する必要があり,自動で更新する仕組みを作らないと大変です。(機会があれば,自動更新方法について投稿します。)

さらに注意点として,ドメイン名を契約しているISPとレンタルサーバやメールサーバを契約しているISPを別々にする場合は,それらに合わせてドメインサーバを設定しなければなりませんのでご注意ください。

あと,Webサイトを構築するのであれば,一般的には「WordPress」を採用すると思いますが,採用する「WordPress」テーマによってCSSの与え方など,ちょっとした点で難しさが出てくるものと思います。

今後,そのちょっとしたことについて,気づきがあれば参考に投稿しようと思います。


  まとめ

 小規模事業者において,費用をなるべくかけないサイト構築例としては,以下のとおりです。

利用項目 サービスタイプ 数量 費 用(年間)
ドメイン JPドメイン 1個 年2,000円程度
メールシステム GoogleWorkspace 1ユーザ 年9,000円程度
Webサーバ VPSサーバ 1個 年11,000円程度
Webサーバソフト Apacheなど 1式 無料
SSL証明書 Let'sEncrypt 1個 無料


インターネットの料金を除けば合計で年間22,000円程度で,独自ドメインによるWebサーバ,メールシステム,ストレージ,TV会議等を手に入れることが出来ました。

さらにレンタルサーバ販売事業者の販売キャンペーンなどを活用すれば,もっと安く構築できるかと思います。

皆様の参考になれば幸いです。

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