ユーザ側から見たRPA技術

島根県浜田の海岸から日本海を望む
島根県浜田の海岸から日本海を望む



みなさん,こんにちは。

当会では,現在,Googleサービスの研究を主に行っています。インターネットを見れば,いくらでも知見が得られるのですが,自分でやらないことにはいろいろと考えることが出来ないので進めています。

まだ,GoogleMeetやGoogleDrive等のセミナー向けIT教材が揃ったところです。

コロナ感染症の影響ではないのですが,ほとんどの会合はオンラインで行っており,徐々に応用範囲を広げながらIT教材を増やしているところです。

ですから,情報発信できる材料が未だ多くありません。

しかし,最近,話題になっているRPAについては,5年ほど実務経験を積みましたので,参考になるかも知れないと考え情報発信することに致しました。


  RPAとは

これは,「Robotic Process Automation/ロボティック・プロセス・オートメーション」の略語です。

主にパソコン等で行うルーチン業務(定型的な繰り返し業務)を自動化することで,ホワイトカラーのデスクワークを省力化します。

これが,人手不足やAI・IoTの普及と相俟って,急速に広がったということでしょうか。

経営者から見ると,何やら話題になっているし,少ないお金の投資で人件費が抑えられて採算が取れるならやってみて損はないと考えると思います。


  RPAの製品数

では,このRPAには一体,どのくらい製品があるのでしょうか。

RPAには,無料のものと,条件付き無料のもの,有料のものがあります。

しかし,基本的には無料のものはないと考えた方が良いと思います。

最初は無料だが,会社規模が大きくなったら有料になるものや,手動(アテンド)で動かすなら無料だが,スケジュールで自動実行(アンアテンド)するなら有料になるというものもあるからです。

RPAは,一度導入すると長く実行していくことになるため,無料であっても継続してサービスしてもらう必要があり,その点の保証を得る意味からもなるべく費用を抑えたうえで導入を図るのがよいと考えます。

国内で有名なRPAは,WinActor(NTT系),UiPath,BizRobo!Blue Prism,Automation Anywhereなどですが,その他も含めるとかなり沢山あります。

提供形態も「サーバ型」「デスクトップ型」「クラウド型」の3種類あり,それぞれに特徴がありますので,自分の企業のニーズを踏まえて決定する必要があります。

その点は,インターネット上に比較したサイトが沢山ありますので,ググればよろしいでしょう。


  RPAの特徴

RPAは,パソコンの環境や企業内のシステム環境によって,非常に影響を受けやすいツールです。

私が経験した大手のRPAであっても,5年間にOS変更1回,ブラウザ変更3回,RPAバージョンアップ1回,メールシステム変更1回,共同ストレージの変更1回ほど,RPAソフトの修正と再テストが必要になりました。

ひとつひとつの修正は,それほど大したことはありませんが,正常稼動するかの再テストはその環境づくりが結構大変です。

また,RPAの提供側からPoC(Proof of Concept:概念実証)をしましょうという提案があるかもしれません。

PoCとは,新たなアイデアやコンセプトの実現可能性やそれによって得られる効果などについて検証することですが,1回程度の調査などではまったく役に立ちません。

大きな反復処理(例えば手書き申込業務自動化等)がある場合は,それを自動化すればいいだけですが,一般的に企業内業務の自動化は,RPA担当者が業務サイドと手を取り合って,丹念に洗い出さなければ見つかりません。

それと,システムの特徴としてRPAには基本的に互換性がありません。どれかのRPAを導入して,上手く行かないからと言って他のRPAに乗り換える場合は作り直しになります。

ですから,慎重に選定しないと無駄な投資をすることになりますのでご注意ください。


  RPAを行う上での心構え

ユーザ側から見ると,これが一番大切な事になります。つまり「何の狙い」で行うかです。それによって組む体制が違って来ます。

私が経験した観点から申し上げると,企業によってその狙いが分かれます。ひとつは業務効率化目的で人件費を大幅に削減したい場合でターゲットが明確な時です。

これは,それほど難しいことではなくて,反復的な手作業(パソコンへの反復入力やチェック)をRPAに置き換える設計をすればいいことになります。

もう一つは業務改革や業務改善,あるいは新規事業の創出の起爆材としてRPAを使う場合です。一つ目は集中してRPAを導入すればいいので,費用対効果も高く,短期に効果が期待できます。

ところがもう一つの方は,社員が持つ潜在能力をRPAを道具として引き出そう,高めようとするのですから,それなりの仕組みを講ずる必要があります。

少なくとも社内システム基盤を司る担当と連携して,業務改革を推進する部隊を用意する必要があります。

RPAの導入においてよく失敗する事例は,これらの狙いを明確にせず,よその会社がしているからとか,話題になっているからとか,狙いを明確にしないで組織も責任者も作らずに遂行するような場合です。


  RPAのメンテナンスは誰がするのか

先ほども申し上げた通り,RPAは取り巻く環境が変わる度に対応する必要があります。

集中して導入できる場合は,システム部門などがそれを担えばいいのですが,多くの社員の力を引き出す目的で行う場合は,各々の担当者自身がメンテナンスしなくてはなりません。

また,日本型企業では定期人事異動が多いことから,次の担当者は扱えない,修正できないということを当然のように言って通る風潮があります。

いわゆる野良ロボットを作ってはいけないということを強調する発言です。

しかしながら,このような言い訳をいつまでも言い続けては,労働生産性が高まらず,日本企業の競争力は海外に劣後することになります。

従業員であれば,基本的な素養としてRPAやVBAなどのプログラムを,前任者が誰であろうと,導入しているRPAが何であろうと引き継ぎ修正する能力を保有する。

企業としてそういう人と環境を醸成すべき時期にきています。

そういったことが出来る企業だけが,次の時代に生き残れる企業になることでしょう。


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